JUNNOSUKE HARA

Installation, 2019

3D printed abs, inkjet print, monitor, raspberryPi

個展「≃」at ANAGRA

ステートメント
証明写真の私も、自撮りでキメ顔の私も、
猫を被って話した私も、腹を割って話した私も、今この文章を考えている私も、
それをまた読み返す5分後の私も、
全て違うが、私でなくはない。
それぞれが別バージョンの私である。
絶対的に一つのオブジェクトというものは無く、
無数のバージョンが細胞のように結びつき、更新を続けている。
その運動の中に、私たちは静的な幽霊を見る。

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自撮りをしている人物が波状に歪んだ彫刻と、その自撮りの画面も波状に歪んだ状態で表示されている映像がディスプレイに中継されている。彫刻は、映像の歪みによって元の人物の形状に矯正されるように、プログラムで計算して歪めた3Dモデルを出力したものである。ディスプレイの中では、カメラに映り込んだ鑑賞者や周囲の物は歪み、立体物のみ歪みが正されることで、鑑賞者と彫刻の「歪んでいる↔︎歪んでいない」の関係は、現実空間とディスプレイの中で真逆になる。

ディスプレイが無い作品群は、彫刻と印刷された写真によって構成されている。
彫刻は、写真を撮影するための、ある一点の視点からのみ歪みが消えて見えるように計算されて出力されたものである。

彫刻、展示空間に、私たち人間の鑑賞者以外の視点(カメラの視点)を織り込むことで、私たちが様々なメディアを通した写真や動画と、肉眼で見たものたちを結びつけながらイメージを形成していく運動を顕にし、再考することを試みた。

Installation View, Photo by Aya Suzuki

Link : ANAGRA