かつて、恐竜がいた。らしい。 太古の地球で繁栄していた彼らだが、恐竜を知らなかった頃の人々は、象の骨や怪物の骨だと考え、また、ある学者には巨人の陰嚢と名付けられたこともあった。 1824年にメガロサウルスが初めて科学的に命名、記録され、1841年には、この巨大な爬虫類たちは「恐竜(dinosauria)」と新しく分類された。 イギリスの水晶宮公園にあるはじめての等身大復元像の姿、ハリー・ハウゼンの特撮に登場する姿、映画「ジュラシック・パーク」の劇中の姿、全てが違うように、研究の発展に伴い、同じ種の恐竜であってもその姿形は更新されていく。新たに別種として命名されるものもあれば、誤りとして名前を奪われるものもいる。 近年の急速な科学技術の進歩により、自分が子供の頃、夢中になって描いていた姿からも、既に更新されている。 化石は変わらずあり続けるが、子供の自分や、100年前の人々の頭の中を、闊歩していた恐竜たちは、どこに行ったのだろう。 失われた、「失われた姿」を何と呼んだらいいのだろう。 「かつていた/いまいる」 ディスプレイ43インチ・ビニール・映像ループ 「触れられない皮膚のパッチワーク」 ジェスモナイト、木 400×400×40mm 「消えた夢の中を歩く恐竜」 ジェスモナイト、ポリエステル #1 150×150×200mm #2 480×250×70mm #3 300×200×150mm